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戸建て不動産を売却した際の確定申告
戸建て不動産を売却した場合、給与以外の利益が発生することもあるので、確定申告をするかどうか迷う人も多いのではないでしょうか。
企業に勤めていると確定申告をする機会もあまりないかと思いますので、不動産を売却した時の確定申告の書類や手続きの流れ、確定申告が必要なケースなどについて詳しくご説明していきます。
確定申告は必要?
確定申告は、企業からの給与以外に利益が発生した時などに申告が必要になるものです。そのため、不動産を売却して利益が出た場合には、確定申告をする必要があります。
不動産を売却して利益が出た場合というのは、実際に不動産を売却した金額が、不動産の取得にかかった金額と不動産の売却に要した金額の合計より高くなるケースです。 この利益を譲渡所得(売却益)といい、この金額に税金がかかってきますので、確定申告でその金額を報告しなければなりません。
計算式は、
「譲渡所得=売却した金額-(不動産の取得金額+不動産の譲渡にかかる費用)」
となります。
勘違いされることも多いのですが、投資用の物件だけでなく、居住用の戸建てなどの売却にも税金はかかります。ただ、特別控除を受けられれば税金がゼロになることもあるので、まずは譲渡所得が発生するかどうか確認してみましょう。
※不動産の取得金額や不動産の譲渡にかかる費用、特別控除や軽減措置については「戸建て不動産売却時の節税方法」のページをご参照ください。
確定申告に必要な書類について
譲渡所得が発生していたら、確定申告に必要な書類を準備しましょう。
不動産売却にかかわる確定申告の申告書は、
- 確定申告書B様式
- 分離課税用の確定申告書
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
の3種類になります。
確定申告書B様式は譲渡所得の申告に必要な書類で、分離課税用の確定申告書は給与などの所得と分けて課税する内容を記入するためのものです。譲渡所得の内訳書は、売却した不動産の所在地や売買契約日、売却金額などの詳細を記載するものです。
税務署に赴いて書類をもらうこともできますし、国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」からダウンロードすることも可能です。税務署に行く場合は、あまり早すぎると書類が用意されていないこともありますので注意してください。
また、パソコンを使用してオンラインで申告書を作成することもできます。
申告書の他に、あらかじめ自分で用意しておく書類も必要になります。
- 不動産を売却した時の売買契約書
- 売却した不動産の全部事項証明書
- 売却する不動産を購入した時の売買契約書や領収書
- 売却にかかった仲介手数料や印紙税などの費用の領収書
売却した時の売買契約書はすぐ手元にあるかと思いますが、不動産を取得した際の金額の証明になる売買契約書や領収書は紛失してしまっている可能性もあります。
もし手元にない場合は、なるべく早めに着手して確実に入手することをおすすめします。
不動産の取得費用が判明しない場合は、売却価格の5%が取得費とみなされますが、実際の取得費よりかなり安くなることが多く、税金のかかる譲渡所得がふくらんでしまいます。
また、売却にかかった費用も正確に報告しないと譲渡所得が増えて税金がかさんでしまいますので、細かいものでもきちんと領収書を取っておくようにしましょう。
ほかにも、マイホームを譲渡した際に3,000万円の特別控除を受ける場合や特例の申告をする場合には、戸籍票や住民票の提出が必要になることもあります。
確定申告の手続の流れ
確定申告の手続きは、基本的に申告書に必要事項を記入して、証明書となる書類を添付して税務署に提出するだけになります。
しかし、初めて確定申告をする場合はどこに何を記入すればいいかわからないので、できれば税務署の窓口で職員に教えてもらいながら記入していくのが確実です。
ただ、確定申告の時期は税務署が非常に混みあいますので、国税庁のホームページの「確定申告書作成コーナー」で手続きの方法や記入の仕方を見ながら進めていくほうがスムースに行えるかもしれません。
オンラインで画面の手順に従って入力していけば、それほどつまずくこともないでしょう。
そうして記入した申告書に添付書類を添えて税務署に郵送で提出することもできますが、オンラインで作成した書類を印刷するにはプリンタが必要になりますし、電子申告・納税システム(e-tax)を利用する場合にはカードリーダーが必要になります。
パソコンとプリンタが利用できれば郵送での提出を試みて、わからないことがあれば書類をそろえて税務署の窓口に行くのがいいでしょう。
書類が不足していたり入力事項が不明だったりすると、何度も税務署に足を運ばなければならないので、ある程度まとまってから行くのが近道です。
郵送で提出する場合は、消印の日が提出日として認められますので、税務署に行けない忙しい人も、がんばって期日までに書類をそろえられるようにしましょう。
忙しい人や不安な人は税理士に依頼してもOK!
不動産売却にかかわる確定申告は、売却した不動産についての情報が基本なので、「確定申告書作成コーナー」で確認しながら進めればそれほど難しいことはないでしょう。
それでも、どうしても時間が取れない、税金の計算に不安がある、特例や控除を確実に申請したいなどの理由がある人は、税理士に書類作成を依頼することもできます。
もちろん有料になりますが、数万円程度が相場となっており、時間を割けない人や確実に税金を納めたい人にとってはそれほど高額にはならないでしょう。
また、会計ソフトや確定申告ソフトなどを利用するのもお手軽で確実です。
いずれにしても、書類をそろえたり調査をしたりする必要はありますので、期日ギリギリになってから取り掛かっては間に合わないこともあります。
なるべく余裕をもって始められるようにしましょう。
売却損でも確定申告すべき?
不動産の売却で確定申告が必要なのは「譲渡所得が発生した場合」であるとご説明してきました。
「売却した金額<不動産の取得金額+不動産の譲渡にかかる費用」となった場合は譲渡所得は発生せず、売却損(譲渡損失)という状態になります。
この場合は税金も発生しませんので、確定申告をする必要もありません。
ただ、登記の移動によって不動産の売買があったことは把握されますので、税務署から問い合わせが来ることもあります。
その場合、「譲渡所得が発生していないこと」を証明する必要がありますので、書類は用意しておいたほうがいいでしょう。
また、売却損になった場合でも確定申告をすることで税金の控除を受けられるケースもありますので、あてはまる場合には確定申告したほうがお得になります。
マイホームを売却して売却損(譲渡損失)になった場合
3,000万円の特別控除を利用して譲渡所得がマイナスになった場合、損益通算や繰越控除ができる特例を受けられます。
これは、マイナスになった金額をその年の他の所得と損益通算することができるというもので、その年に通算しきれなかったら翌年以後3年内の各年分の所得から繰越控除できますので、ぜひ利用しましょう。
また、特別控除を利用しない場合でも、条件が合えば特例を受けられます。
そのためには、確定申告をする必要がありますので、条件に合うかどうか先に確認するといいでしょう。